体験型のアートに関心を持ち大学院へ
浅野先生の専門分野、主な研究内容について教えてください。
浅野:メディアアートやインタラクティブアートと呼ばれるジャンルの中で、空間や映像、インタラクションを使った「インタラクティブ・インスタレーション」と呼ばれる体験型作品の制作を得意としています。デジタル技術を駆使するだけでなく、紙吹雪や造花など、アナログな仕掛けを取り入れながら、身体的な対話を生み出す表現を模索しています。また、映像学科の出身ということもあり、スクリーンの中にとどまらない映像体験に強い関心を持っています。
インタラクティブアート、メディアアート、インタラクティブメディアとはどのような意味を持つのでしょうか?
浅野:インタラクティブアートは、メディアアートに含まれる表現分野で、主にデジタル技術を使った対話性のある表現を扱うものです。メディアアートという言葉は定義がとても難しく、さまざまな解釈がありますが、一般的にはコンピュータに限らず、先端技術を使った表現活動のことを指すと考えられています。 一方で、インタラクティブメディアは、パソコンやスマートフォンなどを代表とする対話型メディアの総称です。これは、装置だけではなく、アプリケーションやインターネット上のさまざまなサービスなども含まれています。私が所属するインタラクティブメディア学科では、「CG」「Web」「インタラクティブアート」「サウンド」の4つの分野を主軸に、さまざまなメディアを複合的に扱っています。
浅野先生の入学時、インタラクティブメディア学科の前身であるメディアアート表現学科はまだ設置されていませんでしたが、インタラクティブアートに関心を持ったのはどのような経緯があったのでしょうか?
浅野:私はもともと、映画やドラマの監督になりたくて映像学科に入学しました。その後しばらくしてWindows95が発売されて、大きな話題になったんです。この頃から、コンピュータで新しい表現に挑戦したいとも考えるようになり、当時映像学科で教鞭を執っていた草原真知子先生のデジタル映像研究室に所属して、CGやインタラクティブな表現を学びました。大学院博士前期課程を修了してからは、企業で2年ほど商品企画やゲームエンジンの広報などを経験し、メディアアート表現学科が設置された2年目に助手として着任しました。
手をかざす角度により異なる音声を発する仕掛けの作品