山中研究室、また所属学生の特徴は、どのような点でしょうか?
山中:CMやMV、グラフィックデザイン、イラストレーション、タイポグラフィなどの延長線上としての「伝えるため」に「考える」アニメーション制作が基本です。描画を基本とした作画の作品が多いのですが、立体的なものをコマ撮りする作品を制作する学生もいます。研究室に関係する学生としては3年生と4年生がおり、3年生はゼミ生として、4年生は卒研生として所属します。4年になったときに他の研究室に所属することも可能です。
こうしたアプローチでゼミや卒研にあたりますので、学生たちはアニメーションの知識だけでなくデザインについても知識や思考を養うことができていると考えます。それが、その後の制作や就職活動にも良い影響を与えているのではないでしょうか。昨年度の4年生は新型コロナ禍が始まった2020年に入学してきた学生たちでしたが、特殊な環境でも、とてもストイックに頑張っていた印象がありますし、大手アニメーション会社など様々な企業に就職をしています。それ以前の卒業生についても、商業アニメーションや自主制作作品などにおいて、エンドロールで教え子の名前を見つけることがあります。すごく嬉しいですよ。つい探してしまいます。
新型コロナ禍での授業や実習はどのように行いましたか?
山中:新型コロナ禍では基本的にオンライン授業を実施しましたし、実習もリモートで行うことができました。近年はパソコンはもちろんタブレットやスマートフォンといったデバイスが飛躍的に進化し、それにともなって編集やコマ撮り用のアプリケーションなど優れたソフトが出ています。
2019年に芸術学部の全学科が中野キャンパスに統合された段階で、写真分野でいう複写台のような撮影台を使って1枚1枚デジタルカメラで撮影するといった作業から、iPadに移行していました。その点で我々にもノウハウが蓄積されていましたので、リモート授業でもiPhoneやiPadを用いて作画やコマ撮り、編集などを行うための指導ができたというわけです。いま思えば、良いタイミングでiPadを用いた環境に移行したと言えますね。
もちろんパソコンや一定の大きさのモニターは重要で、学生には、iPadはあくまで1つの道具として考えていてほしいと伝えています。ある程度大きな画面で試写をするからこそ気づくことや、音との関係もありますし、様々なことを人力でやっていた時代もデジタル化以降も、iPadで様々なことができるようになった今も原理は同じですので、そうした基本的な知識や技術をしっかりと理解してほしいとの思いがあります。