人気漫画家がYouTubeを始めた意外な理由
<プロ絵師がAIイラストに初心者でも対抗出来る方法見つけたので教えます!>
クリエイターの間で賛否両論が渦巻く「生成AI」に関して、こんなポジティブで刺激的なタイトルのYouTube動画を公開しているのは人気漫画家の慎本真さん(35)だ。動画ではアシスタントたちと即興で絵を描きながら作画のプロセスを披露。一枚絵の中に「キャラクター性とストーリー性」を盛り込む重要性を説いている。
慎本:漫画家って絵を描くだけが仕事じゃないんですよ。大事なのはストーリーとセリフを考えてネーム(下書き)をつくるところ。 絵を描くという点でAIは脅威かもしれないですけど、ストーリーを考える工程はとても複雑です。 まず脳内でストーリーを考え、コマを割り、見せ場は大きなコマに、そうじゃないところは小さなコマにする。 それをページ内に納め、セリフを割り振っていくわけです。 ストーリー性で言えば、読者の期待に添うこともあれば、裏切ることもあるし、それらを作家の感性で微妙に調整するわけです。 漫画家ですら言葉で説明できないこの感覚をAIにどう学ばせるのかと思いますよね。
YouTubeを始めたのはコロナ禍の真っ只中だった2020年。キッカケは「市場調査」の一環だった。
慎本:実は私、それまでYouTubeを見たことがなかったんですよ(笑)。 でも、雑誌か何かに「憧れの男の子がYouTuber」と書いていたのを見て、少女漫画を描く身として「読者の気持ちがわからなくなるのはヤバい」と思ったんです。 そこでYouTubeを勉強しようと。 とりあえず始めたのですが、今度は再生回数が伸びるにはどうしたらいいかを考えちゃって、試行錯誤した結果、初心者向けに漫画の描き方を教える内容になったんです。
いったん「やる」と決めたら徹底してやる性格だという。
とはいえ、作者が顔をさらすことにはいまだに抵抗があるそうで……。
慎本:顔を出してみたら再生回数が増えたんです。親近感もわくのでしょうか。でも、私は「漫画家は顔を出さなくていい」と思っている派。 読者の皆さんにこんな苦行を強いるなんて申し訳ない。だから「私の顔は忘れて読んでください」といつも謝っています(笑)。