ゲームの持ち込みが禁止なら「作ればいい」
『パズル&ドラゴンズ』は、2012年のサービス開始以来、国内累計6300万ダウンロード(2025年5月時点)を記録する人気ゲームシリーズ。名称は知らなくても、ゲーム画面を一度は目にしたことがある人は多いだろう。
そのシリーズでチーフデザイナーを務めるのが、清宮大地さんだ。
幼少期から図工が好きで、レゴ(R)ブロックなど「作る遊び」に夢中になるインドアな子どもだった。
小学校高学年になると、『遊☆戯☆王』のカードゲームが流行し、休み時間は大いに盛り上がった。しかし、しばらくして学校への持ち込みが禁止に。
清宮:禁止になったら、じゃあ自分たちでカードを作ればいいと思ったんです。先生にお願いして厚紙をもらい、モンスターを描き、効果も考えて、オリジナルカードで遊んでいました。
「遊びたい」という気持ちが、いつのまにか「デザインする」行為に結びついていた。自作カードで対戦し、友達と見せ合いながら遊ぶうちに、自然と造形や世界観を考える癖が育っていったのだろう。
清宮:振り返ると、あの時に描いていたモンスターが、デザイナーを目指すきっかけのひとつだった気がします。
中学生になると『マジック:ザ・ギャザリング』に夢中になった。休み時間や放課後はカードで遊び、ノートには思いついたモンスターのアイデアを描きためていた。卒業アルバムの将来の夢には、すでに「ゲームデザイナー」と記されていたという。
こうした経歴を聞くと「黙々と絵を描く職人タイプ」を想像しがちだが、清宮さんには常に「誰かと一緒に何かを作る経験」があった。
小学生の頃から通っていた英語塾では、勉強だけでなく英語劇の発表が行われていた。小学生から大学生まで幅広い年代が集まり、台本を読み、演出を話し合い、舞台を作り上げていた。
清宮:年齢がバラバラでも、ひとつの舞台を作る一体感が好きでした。どう動いたら伝わるか、みんなで考えるのが楽しかったです。
高校ではダンス部に入り、大学でもダンスサークルへ。振付や人の動きを観察する習慣は、のちのゲームアニメーション制作につながっていく。
清宮:社会人になって、2Dのモンスターに動きをつける仕事をしたとき、ダンスで人の動きを観察した経験が役立った気がします。当時はYouTubeも今ほど発達していなかったので、DVDを巻き戻してコマ送りで見ていました。